私たちは、ものづくりの企業として歴史をスタートさせました。現在でもそのDNAは息づいており、さらに高度な技術の追求にも余念がありません。一方で、高度経済成長期の日本においては、繊維工場やものづくりの現場はどんどんと海外へと移行されていきました。私たちにもその影響は大きく、国内のパートナー工場の多くは縮小または廃業していきました。私たちもたくさん歯がゆい思いをしながら、海外での生産を視野に入れるために行動を起こしていったのです。

海外は全く甘くない世界です。日本がいかに穏やかで優しいかを思い知るばかりでした。しかし、決して悪意があるというわけではないのです。厳しいがゆえに、他者を信じるのに時間がかかると言えばいいでしょうか。私たちは、日本のお客様のニーズを満たすために、価格と品質に合致するパートナーを探していきました。逆に言えば、私たちも生きるのに必死でしたし、そのために使えるものは全部使い切らなければならなかったのが良かったのかもしれません。

徐々に仲間が増えていき、その仲間を次々に紹介していってくれるようになりました。私たちは彼らの求める支援を提供し、彼らは技術と品質を提供してくれました。正直、すでに世界と渡り合っていた彼らには、日本を凌駕する品質が備わっており、我々はたくさん教えてもらう側であったのです。自分たちの狭い了見を知った時に、私たちの可能性は広がったのです。この関係の中にあったのは、信頼を裏切らないということと、やはり謙虚さや素直さであったと思います。彼らは彼らのメリットになる存在には、極めて寛容であり、同時に、厳しい判断をします。そうした社会だからです。真摯に応え続けること、ものづくりの技術や方法を伝えていくことなど、真の交換関係だったと感じています。こうして理解できたさまざまなビジネススタイルが今の私たちを作っています。